職種・業界に特化したマーケットデータの活用方法 「機械・電気系エンジニア職」編

2022.07.15


採用をスムーズに進めるためにマーケットデータを活用した求人の要件定義・求人票作成は重要です。
今回はマーケットデータを簡単に検索できる「HR Forecaster (エイチアール フォーキャスター)」を活用して、「機械設計」人材の採用を行う方法を、パーソルキャリアHR forecaster サービス企画の斎が説明します。

斎 伊織
パーソルキャリア株式会社 サービス企画統括部 サービス企画部 ディレクター
2018年より、パーソルキャリア株式会社に新卒で入社。
dodaエージェントサービスの法人営業として、IT・コンサル領域を中心に業界の中小~大手企業の採用支援に従事する。
大手企業を専門に担当する新設の営業部に異動後、各種社内表彰を受賞。
現在はサービス企画担当として、HR forecasterなど、複数の新規サービス開発を務める。

機械・電気系エンジニアでのマーケットデータの数値読み解き方

要件定義とデータ活用の重要性


中途採用を成功させるために、「求人の要件定義 = 採用ターゲットの明確化」がポイントとなります。
要件定義を実施することで、以下のようなメリットがでてきます。

・ターゲットの妥当性の確認ができる
・関係者間での共通理解がしやすくなる
・採用施策を具体化できる
 
しかしながら、経験則だけ要件定義を行うことは困難であり、マーケットデータの活用が大きなポイントになります。 
マーケットデータを活用することで3つの効果が得られると考えられます。
 
・論理的に妥当性を確認できる
・合意形成の根拠になる
・PDCAが回せる、ネクストアクションでどうすれば良いかが分かる
 
改めてマーケットデータを活用することで、効果的な採用活動ができるようになります。
 

要件定義・採用施策を考える際のポイント


冒頭、要件定義の重要性とデータを利用する重要性について説明させていただきました。
 ここで要件定義と採用施策を考える際のポイントですが、次の4点があります。

要件定義と採用施策を考える際のポイント


 このうち、以下のデータについては、「HR Forecast」で取得が可能です。

・年収
・ターゲット人数
・競合状況
 
しかしながら、「候補者の志向性」については提供していません。
 
そこで、今回のテーマとなる「機械・電気系エンジニア」についての志向性や求人の動向について説明していきます。
なお、今から提示するデータはパーソルキャリアの調査部門による結果です。
 

機械・電気系エンジニアの志向性

機械・電気系エンジニアの志向性


「機械・電気系エンジニア」の転職理由は、1位「会社の将来性が不安」、2位「ほかにやりたい仕事がある」となっており、前年度から調査の結果順位が逆転しています。
これは新型コロナウィルスの影響があると思われ、やりたいことを優先するより会社の将来性や安定性への関心が強くなっている傾向が見てとれます。
 
また「業界の先行きが不安」と「倒産/リストラ/契約期間の満了」がそれぞれ前年度比2.3p増と3.2pt増と割合が上昇しており、会社の経営難により転職せざるを得ない人が増加。
近年、候補者側に変化があったということが採用の前提となります。  

機械・電気系エンジニアの採用動向

機械・電気系エンジニアの採用動向


詳しく機械・電気系エンジニアの候補者と求人の動向をみていきます。


■ 登録者の動向
登録者は、2021年5月~7月では、2021年2月~4月対比103%と増加しています。
内訳では、30歳以下の登録者が約半数を占めており、昨今の時世の影響による業績悪化により、現職への将来性や自身の市場価値に対する不安が募り、職種チェンジも含めて検討する方が増えてきている印象となっています。
一方で、絶対に転職するというより、転職活動するか否かを含め、まずは情報収集といった慎重な姿勢が若手層を中心に見られます。
30代以降の登録者に関しても、将来性の不安や早期退職制度により転職活動を考える方が多い状況ながら、現職での勤続が困難でない限り慎重に判断をする傾向です。
 
■ 求人の動向
求人については、新型コロナウイルスの影響もあったものの、求人数は微増を続けており一定の水準に回復しています。
2021年5月~7月が2021年2月~4月対比114%と増加しています。
企業のニーズとしては、組織の若返りや自社にない技術を求める即戦力の補充など、年齢や経験面で比較的要求が高くなっている状況です。
さらに、設計のみならず、市場分析~企画立案など製品開発の上流を任せる求人・部品単位やユニット単位に業務が分解・細分化された求人募集も目立ち、内容の多様化が見られます。

候補者が慎重である一方で、企業側は即戦力を求めている状態です。
そのため採用活動が長期化され、Web面接導入を検討したり面接確約を取り入れたりと、今まで取り入れていなかった選考方法を積極的に導入するなど機会を最大化する企業が増えています。
 
■ まとめ
このように、登録者数は相対的に多いものの求人数も同様に多いため、他社求人との差別化が採用を成功させるポイントとなります。
具体的にいうと、職務内容を明確にし、求めるスキルや年収などの条件を適正化、候補者が求める情報を求人票に記載することが重要です。

特に押さえておきたいのが下記3つです。
 
①どんな製品を設計するのか、どのフェーズ(企画立案、構想設計、基本設計、詳細設計、試作評価など)を任せる予定なのか、を明確化すること
 
②なぜ人がほしいのか、採用背景を鑑み、求めるスキルや年収等の条件を適正化すること

③求めている人物像に対して必要な情報(採用背景、組織のミッション、担当する業務内容の詳細、入社後のキャリア、教育体制など)記載すること

慎重派が多いため、なぜ人がほしいのか、人がほしい部門では、どういったミッションがあるのか、入社後のキャリアはどうなるのか、どのように教育してもらえるかなど、入ったあとのイメージがつくように情報を記載することが大切です。
候補者が最も仕事内容を知ることができるのが求人票となるため、求人票は力をいれて作成することおすすめします。
 

ケーススタディによる HR Forecasterのデータの読み解き方


HR Forecasterでのデータの読み解き方についてみていきましょう。
ここからは、製造業の企業様を担当している経験をもつ弊社の「製造業向けの営業担当」も加えて説明していきます。
 

ケーススタディ①:オファー年収が候補者の平均年収と乖離している


ケーススタディ①:オファー年収が候補者の平均年収と乖離している



このケースでの重要なポイントは、「平均年収」となります。
給与がすべてではないものの(転職理由では9%)、現年収とオファー年収の差が170万円と出ており現在の年収から下がりすぎている状況です。
この場合、母集団形成が難しくなり、改善が必要な点となってきます。

ケーススタディ①:オファー年収が候補者の平均年収と乖離している


打ち手としては3点ほど考えられます。
①年収UP
②ターゲットの変更
③現状維持で他の優位性を創出する
 
■ 製造業向けの営業担当
年収の乖離はかなり多いパターンです。
乖離が起きた場合は、年収の乖離が起きてしまうのはなぜかについて検討し、調整していくことになります。
多くの場合、自社のことはわかるものの、他社がどれくらいのスキルの方にどれくらいの年収を出しているのかについての理解は少ないため、そこのすり合わせをしていくことがポイントとなります。
たとえば、求めるスキルについて、三段階ほどの希望を出してもらい、調整していくことが多いです。
 
・1段階目 構想設計までできて、他のメンバーの指示出しもでき、自分の手も動かせるという即戦力層

・2段階目 基本設計〜詳細設計の経験があり、自社のシステムについて説明すれば短期間でキャッチアップしてくれることを見込める層

・3段階目 学部・学科でソフトの使用経験のみがあり、成長が見込めそうな層
 
経験・スキルで分け、それぞれ、どれくらいの年収を想定しているのかについて話をすり合わせいきます。
 
このように3パターンほど出し、レベル感に合わせて現場とすり合わせをしていくのが重要であることがわかるかと思います。
年収が乖離してしまった場合、現場担当者とすり合わせをする際は、年収をアップするのか、ターゲットを変更するのか、常に「優先順位」の判断しながら進めていくことになります。

ケーススタディ①:オファー年収が候補者の平均年収と乖離している



なお、さきほど他社がどれくらいのスキルの方にどれくらいの年収を出しているのかについて把握しづらいという話がありましたが、担当営業から提供できる情報として「競合案件の提示年収」がありますので、ぜひお問合せください。
 

ケーススタディ② 条件を満たす候補数が少ない


 

ケーススタディ② 条件を満たす候補数が少ない



このケースでの注目ポイントは、「採用決定までの平均日数」と「条件を満たす候補数」です。
 
「採用決定までの平均日数」が表示されていない場合、サンプル数10件以下となり、弊社としても支援がなかなかできていないターゲットとなるため、難易度がかなり高いという状況です。
 
そのため、この場合も以下の打ち手を考えていきます。

ケーススタディ② 条件を満たす候補数が少ない

①ターゲットの変更
②現状維持で他の優位性を創出する
③採用チャネルの拡大
 
■製造業向けの営業担当
極端に対象候補者が少ない場合は、ターゲットの変更について検討していくことになります。
どのあたりまで候補となるのかについて、詳細条件を詰めていきます。
それ以外となると、面接確約(「面接に来てみませんか」というスカウトメール)送信の相談をさせていただくことも多いです。

または、どうしてその方がほしいのかというのを、人ベースではなく問題となっている事象ベースで考えた上で、もしかしたら、採用せずとも顧問契約や派遣の方で解決できるのではないかというように、採用ではない手法で課題を解決する場合もあります。
 
極端に要件が高い場合、可能であれば、現場と話し合いをし、現実ラインまで要件を変えてもらうというのが最初の一歩となるでしょう。

ケーススタディ② 条件を満たす候補数が少ない



ターゲットを変更する場合は、市況感を現場の方に理解していただくために、担当営業から提供できる「社会人経験年数の分布」のデータを活用いただくのもおすすめです。
 

ケーススタディ③ 競合する他社求人数が多い


ケーススタディ③ 競合する他社求人数が多い



データの「競合する他社求人数」がポイントとなり、競合数が極端に多いことがボトルネックとなっているケースです。
 
高い要件で求人を出して人が来ず逆に要件を下げたところ、競合が多くなってしまうという場合があります。
こういったケースでは、他社の求人に埋もれないことが重要となります。

ケーススタディ③ 競合する他社求人数が多い


■ 製造業向けの営業担当
他企業の競合求人に埋もれないための打ち手としては、条件面を良くするというのがひとつになります。
また、要件定義をしっかりした上で、どういう人に求人を届けたいのかについて人事と現場の両方と話し、ターゲットに刺さる情報を見定め求人を作成していくことが重要です。

期間でいうと、弊社側で求人を預かってから2週間程度ですべてのターゲットに行き届く仕様になっているため、2週間経っても応募がこない場合は、すぐに次の手を打たないとどんどん求人が埋もれていってしまう状況であると認識いただければと思います。

この2週間で企業側にやっていただくと採用が前進する確率があがることのひとつに、他のエージェントから上がってきて書類選考や面接を通過した人材を営業担当に共有いただくことがあります。

これにより、弊社から紹介できる人材の幅が広がる可能性が高くなります。
さらに、要件や条件の変更があった場合はすぐに知らせていただき求人票の変更にも対応することで、生きた情報を循環させることができます。これが採用選考のポイントです。
 
要件定義や求人票作成をしっかりすることの重要性を伝えさせていただきましたが、エージェントとの連携の仕方も採用を成功させるために重要なポイントとなります。
実際、どのような人が選考を通過して、どのような人が通過しないのか、どのような人が評価がよくて、どのような人の評価が悪いのか、というのはなかなかかエージェント側からはわかりにく部分です。

また、採用を進める上で企業側の採用したい条件が流動することはよくあることです。
その流動した部分をうまくエージェント側と共有することで採用が前に進みやすくなります。
 
良かった人材の話を企業側からエージェントにお伝えいただくことで、エージェントもさらに動きやすくなりますので、ぜひ情報を共有いただけると幸いです。
 

本日のまとめ


最後に、マーケットデータはコンパスと同じです。
要件定義や求人票をしっかり作成して、エージェントとも連携したにも関わらず採用がうまくいかなかった場合は、データを根拠にすることで現状の確認や何を変更したらいいのかの修正がしやすくなります。
 
今までなんとなくイメージで採用していたところから、データをもとに調べてから募集を開始することで、他の企業とも差をつけやすくなるのではないでしょうか。

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